■漫画家・イラストレーター取材企画


今回のインタビュー企画は、普段のツイートからは分からない、SNSで活躍する漫画家・イラストレーターの実態を少し覗かせていただいた。

第1弾でお答えいただいたのは、カッパのアイコンが目を引く

千田純生先生
千田先生のアイコン

千田先生のアイコン

via ご本人提供

いろんなスタジアムに出没している様子がツイッターから分かるように、心底サッカー大好きっぷりが伺えるお方だ。

そんな千田先生が描くJリーグ選手の似顔絵は、サポーターからの支持が熱い。


――活動的には、漫画よりイラストの方をメインにされているとのことですが。

千田純生先生(以下:千田)

『僕の本来の目的としては漫画家だったんです。単行本いっぱい売れてドーンとヒットしたいっていう目論見で上京してきたのですが、上手くいかず…デビューするのにも時間がかかりましたね。
連載を持てるようになってもヒットとはいかず、その後も出版社に企画を持っていってはボツの繰り返しで、作品を誰にも見てもらえないストレスが半端なかったです。そこで漫画の宣伝程度にしか呟いてなかったTwitterでイラストをポツポツ載せ始めました。
最初は「Twitterに描いても原稿料出ないし」と尖ってましたが、体内に溜まった“誰かに絵を見てもらいたい欲求”が爆発して大好きなサッカーのイラストを中心に描きまくっていたら、サッカー関係のイラストの仕事がいただけるようになって。今は軸をそっち(イラスト)に置いてる、という感じです。』



――Twitterのフォロワーが8.7万人ですが、どうしてここまで増えたのですか。

千田

『2013年にTwitterを始めて、最初はただ漫画やサッカー選手の似顔絵を載せていただけなんですけど、全く跳ねなかったですね(笑)
それからサッカー選手やJリーグマスコットで四コマ漫画を描いていたらジワジワと反応が起き、特にサッカー関係のニュースを風刺するイラストを描いたらたくさんリツイートされるようになりました。Twitterは雑誌と違ってすぐ発表できるし、且つすぐ反応が返ってくる面白さにハマりだして…承認欲求爆発ですね(笑)』



――その場のリアルタイムの話を絵にして投稿するのはキャッチアップ力が高くないと難しいですよね。

千田

『漫画家として漫画を作っていく上で、編集担当の方と結構修行させられたので基礎は持っていたからだと思います。基礎を持ってTwitterを始めたという事もあって、そこは他の人達とは違う自信があります。アシスタント歴も長かったので、プロの先生の方に長くついていた経験があったのも大きいと思います。』
――千田先生のツイッターは、更新頻度が高い印象です。

千田

『絵は雑になりがちですが、更新頻度は意識的に上げています。二頭身の描きやすい絵にして、スピードで勝負しようと思って。
そしたら”早さ“でも有名になりました(笑)
毎週試合の予告カードみたいなのを3年くらい前から趣味でやりだしたら、それがだんだん広まっていって、今ではこれだけの方にフォローしていただきました。去年ワールドカップ行った時にほぼ全試合描いてたんですよ、毎日。そしたらその一ヶ月で4万人くらいフォロワーが増えました。』



――ちなみに、アシスタント時に学んだ事は何ですか。

千田

『僕は週刊少年マガジンで、真島ヒロ先生が「RAVE(レイヴ)」を連載してた時アシスタントをやっていたのですが、あの人は自分に厳しくて世界一早いです。スピードがあって絵のクオリティーが高い。真島さんはスクリーントーンとかほとんど貼らずペンだけでやる方なんです。そういう技術面も学びました。スピード勝負っていう意識は今も自分の中で活かされています。』



――Twitterでの活動にしんどくなったり、イラストのスランプになったりは…

千田

『全然ないです!
自分の絵を誰かが見て楽しんでくれてるのがTwitterから伝わってくるし、それって売れない漫画家時代を経験してる身からするとすげぇ幸せな事です。どん底から表現する場所を手に入れて、フォロワー100人前後から飽きずに絵を描き続けてたら、誰かが見つけてくれて仕事にも繋がったから、継続は大事だなってのも実感してます。』



――イラストがバズって仕事になって、奥さんとの出会いもTwitterで…SNSに千田先生の人生の全部が乗ってますね!

千田

『そうですね(笑)僕はこの時代でなければ生けていけなかったかもしれないです。
なので、僕はTwitter大肯定派です!SNSに救われた人間です(笑)』



――SNS大肯定派と言いつつも、SNSでもつらい思いもそれなりにあったのではないですか。

千田
『意図が伝わらず批判されたことはあります。あと、ネタがスベって炎上した事もあります(笑)「これはウケるぞ~」って投稿したら「不謹慎です!」って時々怒られます。
誰も傷つけないようにと心掛けてますが時々やっちゃいますね(笑)
あと仕事をいただいて広告案件で載せると、それを嫌がる人もいますね。「宣伝してほしくない!」って…でも割とTwitterも進化してきて「それは今では普通じゃん!」という意見が増えてきたこともありだいぶ楽にはなりました。1件でも辛辣なコメントがくると「ドキッ!」としちゃうので優しくしてください(笑)』



――そんな千田先生は、今後の生活面でどんな展望をお持ちですか。

千田

『サッカーが大好きなので今後もプライベートと仕事どちらもサッカー中心になると思いますが、面白いキャラクターを生み出してみんながちょっと幸せになってくれる作品を作り「あの河童がんばってるな」って思ってくれたら嬉しいです。今はイラストレーターの色が濃いですが、やっぱり漫画連載もまたチャレンジしたいので載せてくれる媒体募集しております(笑)』

関連する記事

関連するキーワード

著者