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■原作を見て喜んだ人がいるはず、原作の良いところをアニメでも活かす


Q.アニメーションプロデューサーとして携わるときに、原作には触れられるのですか?

小菅
『原作はすべて読みました。
あくまで個人的な意見ですが、原作がある作品を読まないでプロデューサーやる人はいないのではないかと(笑)』

編集部
『ちなみにどこの範囲まで読み込むのですか!?』

小菅
『ボリュームやストーリー展開、見せ所などを想定しながら楽しく読みました。それを元にどうやって盛り上げていくかを踏まえ、スタッフィングを考えていきました。』

編集部
『そこまで準備されていたとは…』

小菅
『原作を読んで喜んだ人が一杯いるのでアニメ化にあたり原作の良いところを把握し、できるだけ作品の良いところをアニメでも活かすのが一番大切だと思っています。まずは原作を好きなお客様が「アニメも良いよね」って出来るだけ言ってもらえるようにしたいと心がけています。』



Q.アニメ化する作品自体には、演出などにご自身の「こうしたい」という意図は入れるのでしょうか。

小菅
『そこは各プロデューサーのスタイルや考え方だと思うのでこちらも一概には言えませんが、僕自身は、お客様が「観て喜んでもらえること」をやるというのがいいと思っています。提案はしますが、「僕がどうしたい」という個人的な感情は基本的に入れないようにしています。監督とメインスタッフが目指すのを支えるのが基本だと思ってます。』

編集部
『なるほど。』



Q.制作している中で今までにハプニングは…。

小菅
『いくらでもあります!(笑)
関わったどの作品もうまくいった所、うまくいかなかった所がありハプニングだらけでした。ただ苦労した分だけちゃんと完成した時に良くなったと感じてます。』



Q.ハプニングを乗り越えて最終回が放送される瞬間は、結構いろいろと滾るものがあるのではないでしょうか。

小菅
『完成して視聴者の皆様に喜んで頂いていれば最高ではあるのですが、作り切るのに一杯一杯なことが多いのと、上手くできなかった部分があるのでなかなか浸れないですね。』

編集部
『視聴者からしたら十分クオリティーが高いのに「まだ(上に)行くのか!?」という感じですが!』


■第1期はリムルとシズの話


Q.原作で一番盛り上がるちょっと手前でアニメ2クールは終わりましたが、区切りとしてはどんな意図があったのでしょうか。

小菅
『1期は“リムルとシズの話“として筋を通しているんです。1つ通った流れというのがないと区切り目が作れないので、シズの想いをリムルが受けて、シズが残した子供達を救うことで1つの大きな話を完結させることが出来ました。』



Q.番外編についても教えてください。

小菅
『まず、ディアブロを出したかったというのがあります。それから、番外編はディアブロとリムルの邂逅の話なんです。シズとディアブロの関係を描くことで、シズを吸収したリムルとディアブロが実は関係していますよっていうバックボーンの話です。原作を読んでいる方は、もしかしたら深読みをされるかもしれないというフリとディアブロを出すという2つ柱。
それから、転スラ自体が王道ラインをやっていくお話の流れでもあったので、お遊び要素として突っ込めるのも面白いかなと思ってやったのが番外編でした。』

編集部
『25話の「ヴェルドラ日記」では、ほぼ声だけでしたがヴェルドラの新しい一面が見られましたね、副音声っぽくて面白かったです(笑)』

小菅
『本当にこれをやって良いのだろうかという話があり、「やっちゃえ!」っていってやったのが25話なので(笑)』

編集部
『(笑)』

小菅
『もともとは無かった話なんです。急遽1本総集編やれないかというお話をいただき、それなら「ただやるのは面白くないよね」という話し合いの上「ヴェルドラ日記」が出来上がりました。』

編集部
『そんな「ヴェルドラ日記」が、あの構成になった理由は…?』

小菅
『ただ繋ぎ合わせただけの総集編では、やっぱりつまらないし勿体ないよねという話があったんです。吸収されたイフリートとヴェルドラが話をするところを膨らました形を裏でやれないかと。』

編集部
『ノリノリで作られたんですか?』

小菅
『メインスタッフではなく、副監督だった中山(敦史)さんにボリュームを持ってもらい、編集さんと協力してやってもらった感じです。
シナリオの段階でおしゃべりの部分が勝負でした。筆安さんのベースにあるシナリオとキャストの方たちがうまくやってくださいました。』


■本質は“お客さんに楽しんでもらうこと”


Q.小菅さん自身のアニメーションプロデューサーとしてのスタンスについて教えてください。

小菅
『視聴者の皆さんに楽しんでいただけるように作れるのかどうかだと思っています。』



Q.そういった面では、アニメーションプロデューサーに求められるスキルや人材ってどんな人だと思いますか。

小菅
『スタイルややり方も違うので、これがと言うのは解りませんが、「楽しむ能力」ではないでしょうか。楽しめるから向き合える様な気がします。』

■自分が楽しんで、楽しいものにしたい


Q.今後のアニメ業界はどういう風に発展していくと思いますか。

小菅
『世の中の動き自体がすごく早くなってきていると感じており、その中でアニメというのが今後どうなっていくのか、色んな変革が出てくるんじゃないかと思います。』



Q.その動きに合わせて、アニメがどういう形で広まっていってほしいですか。


小菅
『作り手も視聴者も含めて、アニメに関わる人たちが幸せに楽しくやれるような業界になったらすごくいいなって思います。やっている僕らが楽しまないと楽しいものにはならないと思うので、業界全体でそういう方向になったら良いなと思います。』


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