■映画『空の青さを知る人よ』


10月11日に公開される映画『空の青さを知る人よ』(以下:空青)。
映画『空の青さを知る人よ』/©️2019 SORAAO...

映画『空の青さを知る人よ』/©️2019 SORAAO PROJECT


TVアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』や映画『心が叫びたがってるんだ。』を手がけた長井龍雪監督を筆頭に、脚本家の岡田麿里さん、キャラクターデザイナーの田中将賀さんで結成されたアニメ制作チーム“超平和バスターズ”の4年ぶりの最新作

今回、17日に行われた舞台挨拶付き完成披露試写会に行ってきました。

公開前に感想を述べるのは、ネタバレ無しといえどもあまり気が進まないのですが、本作を通して知ってしまった“空の青さ”が1日経っても忘れられなかった為、長井監督が舞台登壇時に言っていた事だけでも書き綴っておこうと思います。

■映画のテーマは“愛”と“過去の自分”


ステージには、長井監督・吉沢亮さん・吉岡里帆さん・若山詩音さん・松平健さんなど名だたる有名人が登壇されました。


本作が長編アニメーション映画の声優初挑戦となった吉沢さんがメインにお話してくれていたのですが、いちバスターズファンとしては長井監督の言葉をもっと聞きたかったです…(笑)

MCから「本作のテーマは?」と聞かれると、

長井監督
『細かい事は色々あるのですが、“姉妹愛”と“過去の自分との対峙”です。いつもながら地味な、地に足のついた作品になっています。
今までは、T Vアニメの延長で作る感じが強かったのですが、今回は映画らしさ(表現)を意識しました。』


とおっしゃっていました。


また、松平健さんの出演は、長井監督からの熱烈オファーによるものだそうです。


姉妹愛についてはなんとなく想像がつきますが、過去の自分との対峙とは一体どういう事なのか。
物語終盤では、“過去”と“現在”の“自分”がちょっとユーモアな展開を見せてくれます。

この“自分”が誰を指しているのか、観る人の解釈によって置き換えられていくストーリーでした。
サブカル部編集部撮影 (13354)

via サブカル部編集部撮影

■作品の舞台は秩父


あの花やここさけと同様に、本作も埼玉県秩父市が舞台でした。

秩父駅も旧秩父橋もがっつり映りますし、主人公・あおいの通う高校は秩父高校です。

過去作を観ている人からしたら、知っている景色がそこにはありました。
アニメを通して「見慣れた風景」というのは不思議な感覚です。

すでに、予告映像からカット回収されている方々もいますね!


■主題歌と劇伴


空青の大きな魅力の1つでもあると感じたのは、音楽です。

本作の劇伴を手がけたのは、横山克さん。
ここさけは、アニメ映画(共同)と実写映画の両方を手がけています。

物語のプロローグで流れるベースを使った重めの音がとても印象的でした。

物語の始まりとは思えない夕日のシーンで、これから100%ハッピーではないちょっと切ない物語が始まるんだ、という気持ちに引きずり込まれます。

劇伴、本当に素晴らしすぎたのでサントラ購入待った無しだと思います!


また、挿入歌と主題歌は“あいみょん”

本作のために書き下ろされた主題歌『空の青さを知る人よ』は、まさに物語そのもの。
『ああ、しんのが作った曲なんだ』って思って聴くと色々かゆくなりますが…笑
歌詞の中の主人公は、作中の誰の目線ともリンクしている気がして、切ないストーリーでありながら、最後はポジティブになれる作品に寄り添った楽曲だと思います。

曲終盤の「君が知っている空の青さを知りたいから」とか最高すぎますよ、本当に。

登場人物全員の気持ちを代弁したフレーズ。

あいみょん、好きになりそうです。


劇中のとあるシーンは、あいみょんの壮大なMVと言っても過言ではないくらい爽快な演出でした。
そこはぜひ、“MVだと思って”観てほしいです。

■ここから微バレ注意!


本作には、ある有名なことわざが軸となっていました。


タイトルから察する人は多いかと思いますが、

『井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る』

です。

狭い世界に生きているから、広い世界のことは知らない。
でも、その狭い世界で一つのことを突き詰めたからこそ、その世界の深いところまで知ることができた。


という意味です。

空の青さを知りたかったあおい。
空の青さを伝えたかったしんの。
空の青さを信じたかったあかね。
空の青さを忘れたかったしんのすけ。

最後まで観たあとに4人のキャッチコピーを改めてみるととんでもないメッセージだったなと思うのではないでしょうか。


私は、井の中の蛙だろうか。
空の青さを知っているだろうか。

知ろうとしているだろうか。
知っているけど知らないフリをしているのだろうか。

たぶん、そういう自問自答と目を逸らす逸らさないの葛藤がフレッシュに描かれていて、観終わった後に今の自分はどんな世界にて、そこからどんな景色が見えているのか」を意識させられると思います。

また、“過去の自分”と物理的に対峙した時、「過去の自分に何と言われ、今の自分は過去の自分に何て言うのだろうか」という純粋な疑問も生まれます。

“過去の自分との対峙”とは、作中の登場人物だけでなく誰もが持っている葛藤です。
空青の中では、みんながそれぞれ、様々な形で過去にとらわれていました。

“とらわれている”というのは大げさすぎる表現かもしれないですが、心残りがある過去って誰しもありますよね、そんな感じのものです。

特に、未来の自分に大きな希望を抱いていた人ほど、“未来(現在)の自分”に対しての劣等感は大きな課題になっているような気がします。

筆者にとっても過去の自分を振り返りたくなるような、「今の自分は、あの頃思い描いていた自分になれているのかなー」と考えてしまうようなそんな作品でした。
サブカル部編集部 (13366)

via サブカル部編集部

ツナマヨと昆布。
おにぎりの具材で表現する“空の青さ”もちょっと面白いです。


映画『空の青さを知る人よ』は10月11日公開です。

新作を待ちわびていたオタクたちは、長井監督を信じて劇場へ行ってください!

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