■原作コミック7巻


過去にコナンは、服部平次にこう言ったことがある。

「犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させちまう探偵は、殺人者とかわんねーよ」
コナン16巻

コナン16巻


事件簿作品の某少年をディスっているかのような格言である。
本作で上位に入る名言を生み出したコナンだが、彼もたった一度だけ犯人に死なれてしまったことがあるのだ。


それが、原作コミック7巻にて描かれた名作『ピアノソナタ「月光」殺人事件』
コナン7巻

コナン7巻

コナンクラスタが後世まで語り繋げようしている江戸川コナンの十字架回だ。


■ピアノソナタ『月光』殺人事件

コナン7巻

コナン7巻

舞台は、「月影島」という小島。

毛利探偵事務所に“麻生圭二(あそう けいじ)という人物から依頼の手紙が届き、コナンたちは「月影島」へ向かった。
そこで発覚したのは、実は麻生圭二が12年前に死んでいたということ。

月影島出身の有名ピアニストであり、自殺したその日も公民館でピアノ演奏をしていた。
その後、急に狂い始めた麻生圭二は、家の中に閉じこもり妻と娘を刺し殺たあと、家に火を放ちその炎の中でずっとベートーベンのピアノソナタ「月光」を弾いていたという。
コナンコナン7巻

コナンコナン7巻

この麻生圭二の話を軸に、島の資産家や村長が殺される連続殺人事件が発生する。
(あと無職の人も)

遺体発見時に月光が流れていたことから、“麻生圭二の呪い”として話が進行する。
コナン7巻

コナン7巻


この連続殺人事件には、過去の麻生圭二焼身自殺が関係していた。
今回殺された人物たちが、麻生圭二を自殺に見せかけて焼き殺したというのだ。

その理由が”麻薬”。
前村長(すでに死亡している)と殺された3人は、ピアニストとして渡航していた麻生圭二を利用して麻薬を買い付けていたのだが、麻生圭二が協力を拒否したため口封じのために焼身自殺に見せかけて焼き殺したのだ。

わりと残虐…。



そして、そんな3人を殺害した「月光」殺人事件の犯人は、女だと思っていた人が実は男で麻生圭二の息子だったというオチ。

もちろん動機は、父親の仇だ。
コナン7巻

コナン7巻


そして、江戸川コナンの、一生下ろすことが出来ない大きな十字架となる人物である。

■『もう血みどろなんだよ』

コナン7巻

コナン7巻


ピアニストとして麻生圭二が最後に演奏した公民館のピアノと一緒に自殺を試みる犯人の麻生成実。
コナンは、麻生圭二が生前残していた息子への暗号を麻生成実へ伝えるために燃え盛る炎の中へ。

そして、生きるよう説得するも、「もう遅い」と窓から放り出されてしまうコナン。
コナン7巻

コナン7巻

コナン7巻

コナン7巻


炎の中でコナンに向けた暗号を引き続ける犯人。

江戸川コナンが、推理で追い詰めた犯人を助けることが出来なかった唯一の事件。

■「たった一人だけ…」


そして、原作コミック16巻にて服部平次にあの言葉を投げるのだが、服部の返事に対してこう反応している。
コナン16巻

コナン16巻


このことから、コナンの中で『月光』殺人事件は決して忘れてはいけない出来事であることがうかがえる。
「殺人者と変わらない」と思っている以上、コナンは自分が死なせてしまった「麻生成実」という十字架を背負い、自身が犯した唯一の大罪として捉え、そして探偵を名乗っていく。

「殺人者とかわんねーよ」と言われた服部は、原作コミック19巻で自殺しようとした犯人を身体を張って救った。
コナン19巻

コナン19巻



たまらん。

江戸川が過去に犯人を死なせてしまったことがある事を服部は知らないが、同じ探偵だからなのか江戸川の言葉に服部自身がハッとさせられたことがあったのだろう。

親友って最高。


2019年5月現在、原作コミックは96巻まで刊行されているが、この麻生成実の死と江戸川の十字架について描写されているのは19巻が最後。

7巻が描かれたのは、かれこれ24年も前である。

24年が経った今でも、コナンクラスタ界隈では名作としての支持が高い「ピアノソナタ『月光』殺人事件」。

それは、「殺人」を誰よりも許さず、人の命を何よりも重んじている江戸川コナンの、最初にして最後の“殺人行為”だからである。

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