■その作品名を『メイドインアビス』という


※他作品(まどマギ・スクイズ・鬼滅)のネタバレ記載


世の中には、度肝を抜くような、時には概念を覆すような作品が多く出ています。

キラキラとした可愛い“魔法少女”という概念を真っ向から消し飛ばした『魔法少女まどか☆マギカ』

ハイスクールラブストーリーだと思って観ていたら途中から雲行きが怪しくなり、最後はヒロインが主人公を滅多刺しにするバッドエンドの金字塔『School Days』

最近では、主要キャラが敵に“吸収”されたり、“バラバラ”にされたりして次々に死んでいくことで容赦ない地獄を見せつけた『鬼滅の刃』
いわゆる“衝撃作品”とよばれる類の作品たち。


今回は、その“衝撃作品”の中から、とても度し難く、形容し難い、救いようのない世界の果てを見せつけてくる作品

『メイドインアビス』
(C)2017 つくしあきひと・竹書房 /メイドインア...

(C)2017 つくしあきひと・竹書房 /メイドインアビス製作委員会

「メイドインアビス」キービジュアル

について記載したいと思います。



■鍵は“ギャップ”


衝撃作品と呼ばれるものに多く共通するポイントは、“ギャップ”があるかどうかです。

たとえば、前述の『魔法少女まどか☆マギカ』では、魔法を使っていろんな人に夢を与えるキラキラした憧れである魔法少女の運命が無情に描かれました。

魔法は、使えば使うほど自身の魔力が削れていきます。無尽蔵にあるものではなく、当然失った魔力は補わなければいけません。

ではその魔力は何で補うのか?
魔力が尽きたら魔法少女はどうなってしまうのか?

そして魔法が使えることへのリスクも描かれており、夢や希望を与えるのが魔法少女だとしたら、では絶望はどこへいくのか?

「可愛い」だけで片付けられてきた“魔法少女”の概念を正面から打ち消し、さらにフォルムが柔らかい萌え系のキャラデザに反して描かれた展開の残酷さに度肝を抜かれ、ショックを受けた人が多く出ました。



そして、メイドインアビスもまさにその“ギャップ”が肝になっています。


何が起きるかわからない、ドキドキワクワクの冒険ファンタジー!!!


と初見は誰もが思うに違いない…。



■キャラデザ


原作のファンタジックなデザインを活かしたデフォルメチックな可愛いらしいキャラデザが特徴です。
©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製...

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

TVアニメ版のキャラクターデザイン

全体的に丸みを帯びており、子供向けの夕方アニメみたいです。

むしろ画像だけ見たら、夕方アニメか日曜朝アニメって感じ…。


■TVアニメは8話までがプロローグ


メイドインアビスは、原作コミック8巻(1/22現在)、TVアニメ全13話、劇場版総集編前後編で展開されていますが、まずはTVアニメから見るのをオススメします!


音楽と背景美術がTVアニメとは思えない上質なクオリティーで作られており、制作会社全スタッフにありがとうの抱擁とキスを与えたいほど。
©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製...

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

TVアニメ『メイドインアビス』第9話 大断層

何度「これは最終回か???」と思わされたことか…。

メイドインアビスの壮大さを視覚・聴覚で体験し、さらなる深みにハマる為の仕上げとして原作コミックを読むと気付けばそこは“奈落の底”ですよ、ええ、メイドインアビスの沼にズブズブですよ。



■巨大で緻密な世界


『メイドインアビス』の物語の舞台は、どこまで続くとも知れない深く巨大な縦穴 “アビス”と呼ばれる秘境の大穴。
©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製...

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

TVアニメ『メイドインアビス』第1話 大穴の街

アビスには、貴重な遺物や奇妙な生物たちが生息しており、その秘境っぷりにロマンを抱く多くの探検家が、幾度もその大穴に挑戦する時代。

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製...

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

アビスの縦穴の断面を描いた『奈落見取図』

アビスには、穴へ降りた者が地上へ上昇しようとすると上昇時に人体に様々な影響を及ぼす「上昇負荷」という“アビスの呪い”があります。

めまい、吐き気、頭痛、幻覚幻聴、全身に走る激痛、穴という穴からの流血、自傷行為など、深層ごとに呪いは様々。

深界六層とよばれるところからの上昇では、人間のままでは戻ってこられず、その姿は人格や知性も失われ“人”とは呼べない姿になってしまいます。

そうなってしまった“元”人間のことを「成れ果て」と作中では呼んでいます。
©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製...

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

TVアニメ『メイドインアビス』第11話 ナナチ
アビスの呪いによって「成れ果て」となった姿

物語はこのアビスの呪いを巡って、モラルを抉られるような秘密が明かされていくのです。



■TVアニメ10話から度し難い展開


TVアニメは全13話構成で、原作コミックの丸々3巻までが描かれています。
©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製...

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

TVアニメ『メイドインアビス』第2話 復活祭

8話までは、アビスの探検家で行方不明になってしまった主人公・リコの母親・ライザを探しに行こう!というアドベンチャー感全面に押し出した話。


ザクっと超簡単にいうと

「お母さんはアビスの底で待ってると思うから私行ってくる!」

というとても希望にあふれた話でスタートします。

危機的状況や困難はあれど、アドベンチャーものならよくあるデフォな展開なので、8話までは“衝撃”を受けるほどまでではないんです。


ふむふむ、こうして様々な試練を乗り越えて主人公たちはたくましくなって、無事アビスの底で母親と会えるんだな???素晴らしい!!

と思いながら、皆きっとあっという間に9話まで観てしまうと思います。

8話なんて「これで最終回じゃないとかマ!?!?」と思うほどの出来です。


しかし、

このメイドインアビスが化けるのは、ほぼ終盤の10話「毒と呪い」からでした。


ただの冒険物語だと思っていたら痛い目みる、10話以降は化け物でした。

観ている人間の“モラル”を刺激される展開が始まります。



■アドベンチャーと思いきや非人道的要素の畳みかけ


作中には、グロ描写はたびたび出ます。

人間がアビスの生き物に捕食シーン、上昇負荷によって全身から血が吹き出るシーン、腕の肉を削ぐシーンなど。

とにかく血を見る機会が増えるし、痛々しいです。

一番は、最終13話「挑む者たち」で明かされる深層で行われていた“非人道的な実験”の秘密。



前述でも言った通り、深界第六層からの上昇は、アビスの呪いによって人は「成れ果て」になってしまいます。

深界第五層には、それを回避するための方法を研究する施設があったのです。

そこでは、身寄りのない子供達が実験材料となり、その成果や失敗によりたくさんの「成れ果て」が生みだされていました。
©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製...

©2017 つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス製作委員会

TVアニメ『メイドインアビス』第13話 挑む者たち


さらに2020年1月17日から公開が始まった劇場版「メイドインアビス」-深き魂の黎明-では、この呪いを代わりに受けてくれる「カートリッジ」と呼ばれる装置が登場します。



カートリッジとは、生きた人間を、数日間の生存に必要な部位以外を生きたまま取り除いて箱詰めした物です。

これを装着することで、アビスの呪いをこのカートリッジ(の中に入っている人間の部位)が吸収し、自分の体への負担を軽減するというもの。

実験によって生み出された悍しい装置をめぐって、主人公たちを絶望と激しい戦いへと飲み込んでいきます。


「母親探し」で始まったアビス探索。

もはや10話以降はその目的すら忘れてしまうほど、アビスに纏わる謎や真実の情報量が多く、目まぐるしい展開に、見終わったあとはつい

『なんだこの地獄は…』

と呟いてしまうほどです。



母親を探しにいくワクワクドキドキ★アドベンチャー物語じゃなかったのか…???

私は途中から一体何を観せられているのだ…???



正直、観ていて気持ちのいい作品ではないので、筆者もアニメ初心者や気力弱めのオタクには決して勧めない作品です。


ちなみに劇場版「メイドインアビス」-深き魂の黎明-は、最初はPG12作品として出していたが、公開直前の検定の結果、鑑賞区分がR15+となったと公式発表がありました…(笑)

いや、もうそうだと思います…ww

むしろ原作読んでいた身としては、「これをPG12でやれるの…?」というのは正直最初に思ったことで、「どう考えてもR15+」という周囲の納得の声もたくさん上がっていましたwww

つまり、R15+になるほど、制作スタッフは原作に忠実に、手を抜かずに最高峰で作ってくださったということ!!

この公式からの発表は、大変嬉しいものでした。
(指定対象の若きオタクには後ろめたいですが)

 (14064)

劇場パンフレット

そして案の定、劇場版「メイドインアビス」-深き魂の黎明-は気分の悪い地獄絵図を終始見せ続けられ、私の色相が濁りそうなほど度し難い仕上がりになっていました!!!(褒めてる)



■TVアニメ2期続編制作決定!


これはおそらく原作の6巻以降がアニメ化となるんですね。

この原作コミック6巻以降では、深界第六層への到着、アビスや成れ果ての秘密が明かされています。

読んでいてしんどすぎる衝撃事実が描かれているので、とんでもない回を映像化してしまうのかと、想像するだけですでに心身にダメージがヤバイですが、それ以上にシリーズ続編は楽しみです!!


■メイドインアビスは地獄で見せる“愛”の物語


散々、やれ地獄だのやれ胸糞悪い(言ってない)と言ってきましたが、『メイドインアビス』は決してただの地獄作品ではないです。

たしかに、直視出来ないような内容が多く、どうしてこんな話を思いつけたんだ…と原作者の人間性すら疑いたくなるような作品でありますが、主人公が決死の覚悟でアビスへ挑むのも、「成れ果て」として生きる生き物たちも、それを実験していた者も、地上に残してきた友も、探窟家として生きていた主人公の母も、アビスに挑む全ての探窟家もみんなそれぞれに理由があって、いろんな捉え方の“愛”があってこそ。

何を犠牲にして先へ進むのか、その覚悟と胸を熱くする「冒険」はあるか?と問われるような作品です!

主人公リコの、絶対に進むことを諦めない執念を刮目してほしい…!

関連する記事

関連するキーワード

著者